アメリカでの生活にも慣れ、かねてからチャレンジしようと

思っていた“朝マック”を今朝の天気の良さにつられて

オーダーしてしまった。

マックならではの速さで注文した品がトレイに並べられていく、

ソーセージエッグマックマフィン・

ハッシュブラウン・ホットコーヒー。

僕はトレイを受け取って、窓際の日当たり良好な席を選び、

迷うことなく食べ始めた。

外国で朝マックを初めて食べた感動が、この呼びづらい

マフィンを介して僕の中を駆け抜けた。

店内は新聞を読みながら、朝マックを食べているサラリーマンや、

学生でなかなか込んでいたが、

僕は4人席に1人でゆったりとくつろいでいた。

突然、目の前の席に、朝からイチャつくカップルが現れた。

ドラクエならここで戦闘になるところだ。

僕は銅の剣を振り回したい気持ちを抑えつつ、

あえて薬草を使うが如く、マフィンを口に運んだ。

作戦としては「命大事に」といったところだ。

しかし、カップルのイチャつきはとどまることを知らず、

ここがまるでラブホテルであるかのようにヒートアップしていった。

と同時に僕のイライラも次第に抑えきれなくなり

思わずベギラマを唱えようとした瞬間、男は席を立った。

僕は「落ち着け」と言い聞かせつつ、

心の中で「けっ、命拾いしたな」と吐き捨てた。

このとき作戦は「呪文を使うな」に変わった。

僕はとりあえず奥田民生が歌っていた通り

コーヒーを飲んでみた。かなり落ち着く。

この時ほどコーヒーって素晴らしいと思ったことはない。

民生、ありがとうなんて思っているのも束の間、

すかさず男は席に着き、まるで

スライムたちがキングスライムに合体するかのようにイチャつき始めた。

僕はコーヒーのカップを口に咥えながら、

銅の剣を装備した。

そして、そいつらが熱いキスを交わすのを見ると、

「なんでおまえらがキスしているのに、

俺はコーヒーカップとキスなんだよ」

と思わず朝マックに八つ当たりをした。

しかし、よくよく考えると、このカップルに対するある種の敵対感が

すべて遠距離恋愛に苦しむ僕の個人的な理由から発生しているとは

自分でも思わなかった。

僕は情けなくなって、「逃げる」コマンドを選び、

マックを後にした。

ベギラマを唱えなくて本当に良かったと思う。

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